ロザリー・K・フライの同名小説を、舞台をスコットランドからアイルランドに変えて映画化した感動作。ケルト民族の神話をモチーフに、家族の絆、人間と自然のかかわりを、名手ハスケル・ウェクスラーの幻想的な映像の中に綴る。
　1940年代、母親を病で失った幼い少女フィオナが、アイルランド北西部の海岸で暮らす祖父母の元に引き取られる。フィオナの一家が暮らしていた島ローン・イニッシュは、今では無人となりアザラシの島になっていた。
　祖父から島にまつわる伝説や弟ジェミーがゆりかごごと海にさらわれた話を聞いたフィオナは、弟がまだ生きていると信じ、島へ帰ることを望むようになる。やがて従兄弟とともに島を訪れた彼女は、そこで弟の姿を目撃するが……。