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赤い砂漠
Il Deserto Rosso
 (イタリア・フランス 1964)


製作
アンジェロ・リッツォーリ/トニーノ・チェルヴィ
監督
ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本
ミケランジェロ・アントニオーニ/トニーノ・グエッラ
撮影
カルロ・ディ・パルマ
音楽
ジョヴァンニ・フスコ/ヴィットリオ・ゲルメッティ
ジャンル
ドラマ
受賞
ヴェネチア映画祭 国際批評家連盟賞/金獅子賞

キャスト
モニカ・ヴィッティ
ジュリアーナ
リチャード・ハリス
コラード・ゼラー
カルロ・キオネッティ
ウーゴ
クセニア・ヴァルデリ
リンダ
リタ・ルノワール
エミリア

内容
 高度成長時代のイタリアの殺伐とした工業都市。ジュリアーナは工場技師の夫と息子の3人暮らし。自動車事故で入院して以来、夫との関係は疎遠になり、精神が不安定でノイローゼ状態にある。夫の出張に端を発して、彼女は不倫に走るのだが……。
 「情事」「太陽はひとりぼっち」など現代人の心の空洞とコミュニケーションの不在を描き続けて“愛の不毛”の作家といわれるアントニオーニ監督、初のカラー作品。
 無機的な工場地帯の灰色の空間を薄緑色のオーバーコートを着たヴィッティがひとり歩く。工場の煙突からは黄味を帯びた煙がなびいている。神経を逆なでするような木造の赤い室内。ここでは、色が主人公の不安感、疎外感、異常な緊張感を雄弁に語る。
 フスコの音楽が高なるなか、海にとり残されたジュリアーナが途方にくれて泳ぎ回る幻想シーンが印象的。