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時計じかけのオレンジ
A Clockwork Orange
 (イギリス 1971)


製作総指揮
シー・リトヴィノフ/マックス・L・ラーブ
製作
スタンリー・キューブリック/バーナード・ウィリアムズ
監督
スタンリー・キューブリック
原作
アンソニー・バージェス
脚本
スタンリー・キューブリック
撮影
ジョン・オルコット
音楽
ウェンディ・カルロス/レイチェル・エルキンド
ジャンル
クライム/ドラマ/SF
関連作品
Vinyl(1965)
パロディ
雨に唄えば(1952)
受賞
NY批評家協会賞 監督賞/作品賞

キャスト
マルコム・マクダウェル
アレクサンダー・デラージ/アレックス・バージェス/ナレーター
パトリック・マギー
フランク・アレクサンダー
マイケル・ベイツ
バーンズ
ウォーレン・クラーク
ディム
ジョン・クライヴ
舞台俳優
アドリアンヌ・コリー
アレクサンダー夫人
カール・ダリング
Dr.ブロスキー
ポール・ファレル
浮浪者
クライヴ・フランシス
ジョー
ミリアム・カーリン
ミス・ウェザリー
ジェームズ・マーカス
ジョージー
オーブリー・モリス
デルトイド
スティーヴン・バーコフ
トム

内容
 麻薬と暴力とセックスを生きがいに幅をきかす近未来の非行グループ.殺人事件で仲間に裏切られ,投獄された首領のアレックスは,攻撃性を断つ洗脳の実験台となり,すっかりおとなしくなってしまう.立場が逆転して,被害者だった者たちから彼が身に受ける暴力禍.自殺未遂のはてに彼はもとの狂暴さを取り戻す.
 痛烈な皮肉のきいた幕切れである.地下道の浮浪者を愛用のステッキで打ちすえ,有閑マダムを「雨に唄えば」のメロディにのせてレイプする過剰な暴力を,キューブリックは驚くほどクールに演出.母乳成分のウルトラミルクを飲ませるバーや広々としたレコード・ショップなど,近未来風俗のデザイン・センスと相まって,ブラックなテーマをポップな美学で処理していく,彼の天才的な手腕が冴える.
 アレックスが愛聴するベートーヴェンの「第九」の雄壮な曲調と,シンセサイザーの草分け,カーロスのアブストラクトな曲調が作り出す不思議な音空間も秀逸.氷のようなシニスムに貫かれた傑作SF.